「最近、性欲が落ちた気がする」「疲労が抜けにくい」「お腹だけ太ってきた」「朝立ちが減った」
――40代男性では、このような変化を感じる人が少なくありません。
こうした不調の背景には、睡眠不足、ストレス、運動不足、内臓脂肪の増加など、さまざまな要因が関係している可能性があります。その一つとして注目されているのが、男性ホルモンの一種であるテストステロンです。
ただし、テストステロン値には個人差があり、「この数値なら必ず異常」「この数値なら絶対に問題ない」と単純に判断できるものではありません。検査値は、症状や生活背景、測定時間、検査方法とあわせて考える必要があります。
この記事では、40代男性に向けて、テストステロン値の正常値の考え方、低下したときに起こる可能性がある変化、生活習慣でできる対策、医療機関を受診した方がよいケースをわかりやすく解説します。
- テストステロン値の正常値の考え方
- 総テストステロンとフリーテストステロンの違い
- 40代男性でテストステロン低下が起こりやすい理由
- 男性更年期との関係
- 睡眠・運動・食事・ストレス対策でできること
- 医療機関を受診した方がよいケース
テストステロン値の正常値とは?
テストステロン値の「正常値」は、検査機関や測定方法によって差があります。そのため、検査結果を見るときは、必ず検査結果用紙に記載されている基準範囲を確認することが大切です。
一般的には、男性のテストステロン評価では総テストステロンとフリーテストステロンが使われます。
総テストステロンとは
総テストステロンとは、血液中に存在するテストステロン全体の量を示す指標です。海外のガイドラインでは、総テストステロンが300ng/dL未満であることが、テストステロン低下を考える一つの目安として示されています。
ただし、数値だけで男性更年期やテストステロン欠乏と診断されるわけではありません。性欲低下、ED、疲労感、気分の落ち込み、筋力低下などの症状があるかどうかも重要です。
フリーテストステロンとは
フリーテストステロンとは、血液中でタンパク質と強く結合していない、体内で働きやすい状態のテストステロンを指します。
日本のLOH症候群、いわゆる男性更年期に関する診療の手引きでは、診断基準として血清総テストステロン値250ng/dL以下、または血清フリーテストステロン値7.5pg/mL未満が示されています。
特に中高年男性では、総テストステロンだけでは状態を判断しにくい場合があるため、医療機関ではフリーテストステロンや症状の有無を含めて総合的に判断されることがあります。
「正常範囲内」でも不調が出ることはある
テストステロン値が基準範囲内であっても、以前の自分と比べて低下している場合や、睡眠不足・強いストレス・肥満などが重なっている場合には、疲労感や性欲低下などを感じる可能性があります。
反対に、数値がやや低めでも、症状がほとんどない人もいます。つまり、テストステロン値はあくまで身体の状態を知るための一つの情報であり、数値だけで自己判断しないことが大切です。
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40代男性の不調はなぜ起こるのか
40代男性に多い疲労、性欲低下、内臓脂肪の増加、気分の落ち込みなどは、テストステロンだけで説明できるものではありません。加齢、生活習慣、睡眠、ストレス、仕事環境などが複雑に関係している可能性があります。
加齢による変化
テストステロンは20代から30代をピークに、年齢とともに少しずつ低下する傾向があるとされています。ただし、低下のスピードには個人差があります。
40代は、仕事の責任が増え、運動量が減り、睡眠時間も短くなりやすい年代です。そのため、年齢そのものに加えて、生活習慣の変化がテストステロン低下に関係する可能性があります。
睡眠不足
テストステロンは睡眠中に分泌されやすいホルモンの一つです。そのため、睡眠時間が短い、眠りが浅い、夜中に何度も目が覚めるといった状態が続くと、テストステロンの分泌リズムに影響する可能性があります。
40代男性で「朝から疲れている」「休日に寝ても回復しない」と感じる場合、まず睡眠の質を見直すことが重要です。
ストレス
強いストレスが続くと、体はストレスに対応するためにさまざまなホルモンバランスを変化させます。その結果、テストステロンの分泌や性欲、気分、集中力に影響する可能性があります。
特に、仕事のプレッシャー、人間関係、家庭の責任が重なりやすい40代男性では、慢性的なストレスが不調の背景にある場合があります。
内臓脂肪の増加
40代男性では、体重は大きく変わっていなくても「お腹だけ太る」ことがあります。内臓脂肪が増えると、代謝や炎症、ホルモンバランスに影響し、テストステロン低下と関連する可能性があります。
テストステロンの低下と内臓脂肪の増加は、互いに悪循環をつくる可能性があるため注意が必要です。
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テストステロンとの関係
テストステロンは、男性らしさだけに関係するホルモンではありません。筋肉、骨、性機能、気分、意欲、代謝など、幅広い働きに関係していると考えられています。
テストステロンの主な役割
テストステロンには、以下のような働きがあるとされています。
- 性欲や勃起機能を支える
- 筋肉量や筋力の維持に関係する
- 骨の健康に関係する
- 意欲や活力に関係する
- 脂肪のつき方や代謝に関係する
- 集中力やメンタル面に影響する可能性がある
そのため、テストステロンが低下すると、性欲低下、ED、疲労感、筋力低下、気分の落ち込み、内臓脂肪の増加などが起こる可能性があります。
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40代男性で起こりやすい理由
40代は、加齢によるホルモン変化に加えて、睡眠不足、運動不足、ストレス、飲酒、内臓脂肪の増加などが重なりやすい年代です。
これらの要因が重なることで、テストステロン値が下がりやすい状態になる可能性があります。
ただし、疲労や性欲低下の原因はテストステロンだけではありません。糖尿病、甲状腺疾患、うつ状態、睡眠時無呼吸症候群、薬の影響などが関係することもあります。長く続く不調がある場合は、自己判断せず医療機関で相談することが大切です。
テストステロン値を保つためにできること
テストステロン値を保つためには、特別な方法よりも、睡眠、運動、食事、ストレス対策といった基本的な生活習慣を整えることが大切です。
ここでは、40代男性が今日から取り組みやすい方法を紹介します。
1. 睡眠を最優先にする
テストステロンを考えるうえで、睡眠は非常に重要です。まずは、睡眠時間を削らないことを意識しましょう。
- 毎日できるだけ同じ時間に寝起きする
- 寝る前のスマホやパソコンを控える
- 就寝前の飲酒を控える
- 寝室を暗く、静かにする
- 休日の寝だめに頼りすぎない
睡眠不足が続くと、疲労感だけでなく、食欲や内臓脂肪、メンタル面にも影響する可能性があります。
2. 筋トレと有酸素運動を組み合わせる
運動は、テストステロンや代謝、ストレス対策の面で重要です。特に、筋肉を使う運動は40代男性にとって大切です。
おすすめは、週2〜3回の軽い筋トレと、ウォーキングなどの有酸素運動を組み合わせることです。
- スクワット
- 腕立て伏せ
- プランク
- 階段を使う
- 早歩きのウォーキング
ただし、急に激しい運動を始めると、けがや疲労の原因になる可能性があります。運動習慣がない人は、まず短時間から始めることが大切です。
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3. たんぱく質と必要な栄養を意識する
テストステロンや筋肉、代謝を支えるためには、食事の質も重要です。特に、たんぱく質、亜鉛、ビタミンD、良質な脂質などは不足しないように意識したい栄養素です。
- 肉、魚、卵、大豆製品などでたんぱく質をとる
- 魚、きのこ類、卵などを取り入れる
- 極端な糖質制限や脂質制限を避ける
- 野菜や海藻類で食物繊維をとる
- 過度な飲酒を控える
サプリメントは、あくまで食事を補うものです。疲労対策や栄養補助として検討する場合も、まずは睡眠・食事・運動を整えることが基本になります。
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4. ストレスをためこまない
40代男性は、仕事でも家庭でも責任が大きくなりやすい年代です。ストレスを完全になくすことは難しいですが、回復する時間を意識的につくることはできます。
- 短時間でも散歩する
- 深呼吸やストレッチを行う
- 寝る前に仕事のメールを見ない
- 休日に予定を詰め込みすぎない
- 一人で抱え込まず相談する
慢性的なストレスは、睡眠の質や食欲、性欲、メンタル面にも影響する可能性があります。テストステロン対策としても、ストレス管理は重要な要素です。
医療機関を受診した方がよいケース
テストステロン値が気になる場合や、男性更年期が疑われる症状が続く場合は、医療機関で相談することをおすすめします。
特に、以下のような状態がある場合は、早めに受診を検討しましょう。
- 強い疲労感が数週間以上続いている
- 性欲低下やEDが続いている
- 朝立ちが明らかに減った
- 気分の落ち込みやイライラが続く
- 眠れない、途中で目が覚める状態が続く
- 急に体重が増えた、または減った
- 仕事や日常生活に支障が出ている
相談先としては、男性更年期外来、泌尿器科、メンズヘルス外来などがあります。疲労やメンタル不調が強い場合は、内科や心療内科での相談が必要になることもあります。
テストステロン検査は、測定時間によって結果が変わることがあります。一般的には午前中の測定が行われることが多く、必要に応じて再検査される場合があります。
まとめ:テストステロン値は「数値」だけでなく症状と生活習慣をあわせて見る
40代男性にとって、テストステロン値は体調を知るための重要な手がかりの一つです。
ただし、テストステロン値の正常値は検査方法や施設によって異なります。また、数値が低いからといって必ず男性更年期と判断できるわけではなく、症状や生活習慣、ほかの病気の有無を含めて総合的に考える必要があります。
日本のLOH症候群の診療の手引きでは、総テストステロン250ng/dL以下、またはフリーテストステロン7.5pg/mL未満が診断基準として示されています。一方で、海外では総テストステロン300ng/dL未満を一つの目安とする考え方もあります。
大切なのは、検査値だけで一喜一憂するのではなく、睡眠、運動、食事、ストレス対策を見直しながら、必要に応じて医療機関で相談することです。
疲労、性欲低下、ED、朝立ちの減少、気分の落ち込みなどが続く場合は、自己判断せず、男性更年期外来や泌尿器科で相談してみましょう。
参考文献
- 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会. LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き. 2022年.
- Bhasin S, et al. Testosterone Therapy in Men With Hypogonadism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. 2018;103(5):1715-1744.
- American Urological Association. Testosterone Deficiency Guideline.
- Mulhall JP, et al. Evaluation and Management of Testosterone Deficiency: AUA Guideline. Journal of Urology. 2018;200(2):423-432.
- Mayo Clinic Laboratories. Testosterone, Total and Free, Serum.
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