「以前より朝立ちの回数が減った」
「朝立ちをしても、硬さが足りない気がする」
「性欲の低下や疲労も感じるようになった」
40代になると、このような変化に気づく男性は少なくありません。朝立ちが減ると、「テストステロンが低下しているのではないか」「男性更年期が始まったのではないか」と不安になることもあるでしょう。
朝立ちの減少は、テストステロン低下に伴って起こる可能性がある変化の一つです。しかし、朝立ちには睡眠、ストレス、血流、自律神経、生活習慣なども関係しています。
そのため、朝立ちがないという理由だけで、テストステロン低下や男性更年期と判断することはできません。
この記事では、40代男性の朝立ちとテストステロンの関係、朝立ちが減る原因、生活の中でできる対策、医療機関を受診する目安について、一般の方にもわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 朝立ちが起こる仕組み
- テストステロンが低いと朝立ちがどう変化する可能性があるか
- 40代男性で朝立ちが減りやすい理由
- 睡眠・運動・食事・ストレス対策のポイント
- 泌尿器科や男性更年期外来を受診する目安
40代男性の朝立ちが減るのはなぜ?
朝立ちとは、朝に目覚めたときに陰茎が勃起している状態のことです。医学的には、睡眠中に起こる勃起の一部と考えられています。
実際には朝だけに起きているわけではなく、睡眠中に複数回起こる可能性があります。そのうち、目覚める時間と重なったものが「朝立ち」として認識されます。
朝立ちは性的な興奮だけで起こるわけではない
朝立ちは、性的な夢や刺激によって起こるとは限りません。
睡眠中には「レム睡眠」と呼ばれる、脳が比較的活発に働く睡眠の時間帯があります。レム睡眠中は自律神経の状態が変化し、陰茎への血流が増えることで、自然な勃起が起こると考えられています。
つまり朝立ちは、次のような複数の働きによって起こります。
- 睡眠の質とレム睡眠
- 陰茎へ血液を送る血管の働き
- 勃起を調整する神経の働き
- テストステロンなどのホルモン
- 心身のストレス状態
このため、朝立ちが減ったからといって、必ずしも原因がテストステロンだけにあるとは限りません。
加齢による変化
年齢を重ねると、睡眠が浅くなったり、途中で目が覚める回数が増えたりする可能性があります。レム睡眠のタイミングと起床時間が重ならなければ、睡眠中に勃起していても朝立ちとして気づかないことがあります。
また、加齢に伴う血管機能や神経機能の変化も、勃起の硬さや持続時間に影響する可能性があります。
睡眠不足や睡眠の質の低下
朝立ちは睡眠中の生理的な勃起と関係するため、睡眠不足や睡眠の質の低下によって減る可能性があります。
特に、次のような状態が続いていないか確認してみましょう。
- 睡眠時間が短い
- 夜中に何度も目が覚める
- 強いいびきをかく
- 起床時に頭痛や口の渇きがある
- 日中に強い眠気がある
- 飲酒してから眠る習慣がある
強いいびきや日中の眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性もあります。睡眠時無呼吸症候群は、疲労、生活習慣病、男性ホルモンや性機能の問題と関係することがあります。
ストレスや精神的な疲労
仕事、人間関係、家庭環境などによる強いストレスが続くと、自律神経のバランスや睡眠の質が乱れやすくなります。
ストレスによって直接テストステロンが大きく低下するとは限りませんが、睡眠不足、運動不足、飲酒量の増加、抑うつ気分などを通じて、性欲や勃起機能に影響する可能性があります。
朝立ちの減少に加えて、気分の落ち込みや意欲の低下が続く場合は、男性更年期だけでなく、うつ病など他の状態も含めて考える必要があります。
内臓脂肪や生活習慣病
40代男性では、体重はそれほど増えていなくても、お腹まわりの内臓脂肪が増えることがあります。
肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙などは血管の働きに影響し、陰茎への血流を低下させる可能性があります。また、肥満や内臓脂肪の増加は、テストステロン値と関連することも知られています。
関連記事:テストステロンと内臓脂肪の関係
テストステロンが低いと朝立ちはどう変化する?
テストステロンは、男性の性機能、筋肉量、骨、造血、気分、意欲などに関係するホルモンです。主に精巣でつくられ、脳からの指令によって分泌が調整されています。
朝立ちの回数や硬さが低下する可能性がある
テストステロンが低下した男性では、朝立ちについて次のような変化がみられる可能性があります。
- 朝立ちの回数が減る
- 朝立ちをほとんど感じなくなる
- 以前より硬さが弱くなる
- 勃起が長く続きにくくなる
- 性欲の低下を同時に感じる
「朝立ちがなくなる」「性欲が低下する」「EDがみられる」といった性的な症状は、男性の性腺機能低下で比較的みられやすい症状とされています。
ただし、朝立ちが毎日ないからといって、ただちに異常とはいえません。朝立ちに気づく頻度には個人差があり、起床するタイミングや睡眠の状態によっても変わります。
朝立ちだけではテストステロン低下を判断できない
テストステロン低下を判断するときは、朝立ちの有無だけではなく、複数の症状と血液検査を組み合わせることが重要です。
テストステロンが低いときには、朝立ちの減少に加えて、次のような症状が現れる可能性があります。
- 性欲が低下した
- 勃起しにくくなった
- 疲労が取れにくい
- やる気や集中力が低下した
- 気分が落ち込みやすい
- 筋力が低下した
- お腹まわりの脂肪が増えた
- 寝つきが悪い、途中で目が覚める
これらの症状は、睡眠不足、甲状腺疾患、貧血、糖尿病、うつ病、薬の副作用などでも起こる可能性があります。そのため、自己判断で男性更年期と決めつけないことが大切です。
関連記事:40代男性の性欲低下は正常か
40代男性でテストステロンが低下しやすい理由
テストステロンは年齢とともに緩やかに変化する傾向があります。ただし、すべての男性で同じように低下するわけではありません。
40代では、年齢そのものよりも、次のような生活環境が重なることでテストステロンが低下する可能性があります。
- 慢性的な睡眠不足
- 運動不足
- 内臓脂肪の増加
- 過度な飲酒
- 強いストレス
- 糖尿病などの慢性疾患
- 極端な食事制限
- 一部の薬剤の影響
そのため、40代男性の朝立ちや性欲の変化を考える際は、年齢だけでなく、睡眠、体重、運動、ストレス、持病などを総合的に確認する必要があります。
朝立ちの減少を改善するためにできること
朝立ちを直接増やす特別な方法があるわけではありません。まずは、テストステロン、睡眠、血流、自律神経の働きを支える生活習慣を整えることが基本です。
1.睡眠時間と睡眠の質を見直す
朝立ちは睡眠と深く関係しています。平日と休日で起床時間を大きく変えず、毎日できるだけ一定の時間に眠ることを意識しましょう。
具体的には、次のような対策があります。
- 睡眠時間を7時間前後確保することを目標にする
- 起床時刻をできるだけ一定にする
- 朝起きたら日光を浴びる
- 就寝前のスマートフォンや仕事を控える
- 夕方以降のカフェインを減らす
- 寝酒を習慣にしない
- 強いいびきや無呼吸を指摘されたら受診する
必要な睡眠時間には個人差があります。時間だけでなく、「朝に比較的すっきり起きられるか」「日中に強い眠気がないか」も確認しましょう。
関連記事:40代男性の理想的な睡眠ガイド
2.筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせる
運動には、体脂肪の減少、血流の改善、睡眠の質の向上、ストレス軽減などが期待できます。
40代男性では、次のような運動を無理のない範囲で組み合わせるとよいでしょう。
- スクワットなどの筋力トレーニングを週2~3回
- 早歩きなどの有酸素運動を週150分程度
- 座り続ける時間を減らす
- エレベーターではなく階段を使う
ただし、極端に激しい運動や長時間のトレーニングは、疲労や睡眠不足につながることがあります。運動習慣がない人は、1日10~20分のウォーキングから始める方法もあります。
関連記事:テストステロンを自然に上げる方法
3.極端な食事制限を避ける
特定の食品を食べるだけで、朝立ちやテストステロンが急に改善するとは考えにくいでしょう。
重要なのは、必要なエネルギーと栄養素をバランスよく取ることです。
- 魚、肉、卵、大豆製品などからたんぱく質を取る
- 野菜、海藻、果物を取り入れる
- 魚、ナッツ、オリーブ油などの脂質を適量取る
- 過度な糖質制限や脂質制限を避ける
- 飲酒量を見直す
- 体重が多い場合は急激ではなく緩やかな減量を目指す
サプリメントは食事の代わりにはなりません。疲労が強い場合は、サプリメントだけで対応するのではなく、睡眠や病気の有無も確認することが大切です。
関連記事:40代男性向け疲労対策サプリメント
関連記事:テストステロンと食事完全ガイド
4.ストレスをゼロにするのではなく回復時間をつくる
仕事や家庭のストレスを完全になくすことは難しいものです。大切なのは、緊張が続いた状態から回復する時間を意識的につくることです。
- 入浴や軽いストレッチを習慣にする
- 休日も生活リズムを大きく崩さない
- 短時間でも趣味や散歩の時間をつくる
- 就寝直前まで仕事をしない
- 飲酒だけをストレス解消法にしない
- 一人で抱え込まず家族や専門家に相談する
気分の落ち込み、強い不安、意欲低下、不眠などが2週間以上続く場合は、男性更年期だけではなく、心の不調についても医療機関へ相談することをおすすめします。
朝立ちが減ったときに医療機関を受診した方がよいケース
朝立ちが一時的に減っただけで、すぐに病気を疑う必要はありません。しかし、変化が続いていたり、ほかの症状を伴っていたりする場合は、医療機関への相談を検討しましょう。
受診を検討したい目安
- 朝立ちがほとんどない状態が数か月続いている
- 性交時にも勃起しにくい、維持できない
- 性欲が明らかに低下した
- 強い疲労や意欲低下が続いている
- 気分の落ち込みやイライラが強い
- 筋力低下や内臓脂肪の増加を感じる
- 糖尿病、高血圧、脂質異常症がある
- 強いいびきや睡眠中の無呼吸を指摘された
- 精巣の痛み、腫れ、左右差などがある
勃起機能の低下は、血管の状態と関係している可能性があります。特に糖尿病や高血圧などがある人は、性機能だけの問題と考えず、全身の健康状態を確認することが重要です。
何科を受診すればよい?
朝立ちの減少、性欲低下、EDなどが中心の場合は、まず泌尿器科に相談できます。
医療機関によっては、次のような専門外来を設けています。
- 男性更年期外来
- メンズヘルス外来
- 男性ホルモン外来
- 性機能外来
疲労や体調不良が中心で、どこを受診すればよいかわからない場合は、内科やかかりつけ医へ相談する方法もあります。
テストステロン検査は1回だけで判断しない
テストステロンには日内変動があり、一般に朝の時間帯に高くなる傾向があります。また、睡眠不足、体調不良、食事、測定条件などによって値が変動する可能性があります。
そのため、男性性腺機能低下症は、症状と血液検査の両方を確認して診断されます。必要に応じて、異なる日に再検査が行われることもあります。
日本では、医療機関によって総テストステロンや遊離テストステロンなどが測定されます。検査項目や基準値は医療機関によって異なるため、結果は医師に確認しましょう。
市販の検査キットは、自分の状態に関心を持つきっかけにはなりますが、病気の確定診断はできません。症状が続く場合は、検査キットの結果だけで判断せず医療機関へ相談してください。
関連記事:男性更年期検査キットの選び方
自己判断でテストステロン製剤を使用しない
テストステロン補充療法は、すべての40代男性に必要な治療ではありません。
治療を検討する場合は、症状、血液検査、持病、前立腺の状態、血液の濃さ、睡眠時無呼吸、将来の妊娠希望などを確認する必要があります。
テストステロン製剤には副作用や使用できないケースもあります。個人輸入品や出所の不明な製品を自己判断で使用せず、泌尿器科などの医師に相談してください。
まとめ|朝立ちの減少はテストステロンだけで判断しない
テストステロンが低下すると、朝立ちの回数が減る、硬さが弱くなる、性欲が低下するといった変化が起こる可能性があります。
一方で、朝立ちには睡眠、血流、神経、自律神経、ストレス、内臓脂肪、生活習慣病なども関係しています。
そのため、「朝立ちがない=テストステロンが低い」「朝立ちがある=問題がない」と単純に判断することはできません。
まずは睡眠、運動、食事、飲酒、ストレスなどを見直しましょう。朝立ちの減少に加えて、性欲低下、ED、強い疲労、意欲低下などが数か月続いている場合は、泌尿器科や男性更年期外来への相談を検討してください。
本記事に関する注意事項
本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の病気の診断や治療を目的としたものではありません。症状、検査、治療については、医師などの医療専門職へご相談ください。
参考文献
- 日本泌尿器科学会・日本メンズヘルス医学会.LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き.2022.
- 日本性機能学会・日本泌尿器科学会.ED診療ガイドライン 第3版.
- Bhasin S, et al. Testosterone Therapy in Men With Hypogonadism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2018;103(5):1715-1744.
- European Association of Urology. EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health: Male Hypogonadism.
- European Association of Urology. EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health: Management of Erectile Dysfunction.
- Burnett AL, et al. Erectile Dysfunction: AUA Guideline. J Urol. 2018;200(3):633-641.
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